2010年9月23日木曜日

平成22年度秋の特別展内覧会

ご あ い さ つ
 宇和島市は、伊達家10万石の城下町として栄え、宇和海を望む山々の自然に恵まれた景観や文化財を今なお数多く遺しております。
 中でも財団法人宇和島伊達文化保存会には、藩祖伊達秀宗以来の、武具、婚礼調度、絵画など多くの貴重な大名道具が伝存されています。この宇和島伊達文化保存会の格別の御配慮と御協力の下、当市立伊達博物館では、内容を変えながら定期的に公開しております。
 その中で、毎年秋には京都の有名寺院、博物館などからも展示資料の御協力を賜り、伊達家の大名道具とともに特別展として公開しております。お蔭様で昨年度開催の35周年の特別展では好評を博し、県内外から数多くの方々に足を運んでいただくことができました。
 しかし残念ながら、昨年度は図録を作成することはできませんでした。今年度は来館者の皆様のお声に少しでもお応えしたいという気持ちから、冊子ではありますが、図録を刊行した次第です。刊行にあたり、関係各位に心から厚くお礼申し上げますとともに、より一層の御支援をお願い申し上げ、御挨拶と致します。
                      

                         宇和島市長 石 橋 寛 久

ご  あ  い  さ  つ
 「天下人・秀吉」は宇和島の方々にとって、おなじみの人物ではないでしょうか。 伊達家宝物の筆頭として、重要文化財の指定も受けた肖像画は、市民の方々ならば一度はご覧になったことがあるはずです。宇和島藩の初代藩主・伊達秀宗は、幼少期を秀吉のもとで過ごし、名前の「秀」の一字はその緑を示すものです。
 天下統一を果たした武将・秀吉は、絢欄豪華な桃山文化の立役者でありました。賛を尽くした宋楽第や伏見城の逸話はくり返し語られるところです。
 今年度の伊達博物館特別展では、「戦国浪漫~天下人の風流~」と題して豊臣秀吉のそうした文化的な側面や、伊達家に残された縁の資料を展示いたします。再現された黄金の茶室は、派手好みだったという秀吉のイメージの代表例です。加えて、伏見城の遺構を客殿とする近江・西教寺から出陳の資料類は秀吉の生活空間をしのばせます。華やかな暮らしぶりの一方で、千利休を重用した秀吉はわび茶の湯も好み、生涯の楽しみとしました。
 今回、四国の美術館・博物館では初の公開となる国宝の大井戸茶碗 銘 喜左衛門に代表される高麗茶碗は信長・秀吉といった権力者から珍重されたものです。能や狂言の庇護者としても知られた秀吉は、日本史上、もっとも文化事業に熱心な権力者であったかもしれません。宇和島伊達家にも伝えられた、桃山文化の香りを、来館者の皆さまに感じとっていただければ幸甚です。
                            
                                           企画監修 木 村 宗 憤
              (芳心会・宇和島市立伊達博物館運営審議委員・宇和島市文化協会顧問)
祝 辞

本日ここに、宇和島市立伊達博物館 秋の特別展「戦国浪漫~天下人の風流~」を開催するにあたりまして祝辞を申し上げます。
 皆様ご高承の通り、宇和島伊達家は藩祖秀宗公が徳川幕府から伊予の国宇和島10万石を拝領したことに始まり、歴史上「江戸時代」と言う長い時の流れに従って、宇和島藩主として代々この地を治めて参りました。この間、各藩主、家臣などが残した数々の文物は、明治維新後の数々の激動の時代を経てなお、貴重な歴史的遺産として幸運にもこの宇和島の地に現存し、歴史の生き証人として私たちに浪漫を与えてくれています。
 今年の特別展は、藩祖秀宗公が幼少期を一緒に過ごした天下人、「豊臣秀吉」にまつわる品々を京都大徳寺様を始めとした皆様より拝借し、伊達家に伝来した拝領品とともに展示させていただくことができ、光栄に思って居ります。これら本物から発せられる時代を超えて語りかけるものを感じていただければ幸いに存じます。
 宇和島伊達文化保存会は、先人の残した努力によって膨大な資料を保存しており、これらを活かした活動を行う責務を果たして行かなければなりません。 そのためには、今後益々宇和島市の関係当局、特に市立伊達博物館との協力体制を強化し、「来る人には楽しみを、帰る人には喜びを」感じていただけるような、観る人の視点に立った展示、一般公開を行って参りたいと考えています。
 終わりになりましたが、今回の展示にご協力いただきました所蔵者の皆様、御尽力いただきました木村宗慎様、関係各位に心から感謝の意を表しまして甚だ簡単ですが、開会にあたっての祝辞といたします。

平成22916
                           財団法人宇和島伊達文化保存会
        理事長 伊達 宗信

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